第4話 ― わかる人ほど、急がない ― cover art

第4話 ― わかる人ほど、急がない ―

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第4話 ― わかる人ほど、急がない ― おお、おまえさん。 この頃は、何でも早いのが良いと言われますな。 早く決めろ。 早く答えろ。 早く結果を出せ。 少しでも立ち止まれば、 遅れているだの、 考えが足りないだのと、 すぐ言われる。 ですがね、 江戸の世では、 「急ぐ人ほど、間違える」 そう考えられておりました。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 商いを始めたばかりの若い衆が、 縁側で、旦那に愚痴をこぼした。 若い衆 「旦那、悠長にしてたら、 世の中に置いていかれますよ。 早く決めなきゃ、勝てません」 旦那は、すぐには答えない。 庭の石を眺め、 風の音を聞いてから、口を開いた。 「江戸じゃな、 急ぐ奴ほど、道を間違えた」 若い衆 「でも今は、 スピードの時代でしょう?」 「だからこそだ」 江戸の番頭は、 決断が遅い。 だが、外さない。 なぜか。 「全部、見てから動くからだ」 焦ると、人は一部しか見なくなる。 都合のいい情報だけ拾い、 決めたつもりになる。 若い衆 「じゃあ、待つのが正解なんですか」 「待つんじゃねぇ。 整うのを待つんだ」 早さは、誰でも出せる。 だが、 待てる人間は少ない。 わかっている人ほど、 自分から急がない。 流れが来るまで、 腰を据える。 教養ってのは、 知識の量じゃない。 急がない胆力だ。 今の世の中ほど、 急がない勇気が、 値打ちを持つ時代はありません。 次回は、 「余裕は、持っている人に集まる」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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