第10話 ― 去り際に、人は出る ― cover art

第10話 ― 去り際に、人は出る ―

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第10話 ― 去り際に、人は出る ― おお、おまえさん。 人の本性は、 どこで分かると思いますか。 始まり方。 話し方。 肩書きや立場。 どれも、それらしく見える。 ですがね、 江戸の世では、 人は去り際に出る そう言われておりました。 盛り上がっている時は、 誰だって立派に見える。 問題は、終わり方でございます。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 若い衆が、 縁側で、旦那にぽつりと聞いた。 若い衆 「旦那、 別れ方とか、終わり方って、 そんなに大事なんですか。 終わったら、 もう関係ない気もしますけど」 旦那は、すぐには答えない。 庭先を横切る猫を眺めてから、 ゆっくり口を開いた。 旦那 「始まりよりな、 終わりの方が大事だ」 若い衆 「どうしてです?」 旦那 「始まりは、 誰でも取り繕える。 だが、終わりは、 疲れが出る。 本音が出る」 江戸の粋な人間は、 宴の真ん中で、 そっと席を立った。 盛り上がりきる前。 名残が残るところで。 若い衆 「冷たく思われません?」 旦那 「逆だ。 また会いたくなる」 だらだら居座れば、 楽しかった記憶より、 疲れだけが残る。 旦那 「去り際はな、 その人が 周りに何を残したいかで決まる」 感謝を残すのか。 余韻を残すのか。 それとも、 気まずさを残すのか。 若い衆 「終わり方って、 気を使いますね」 旦那 「だから、 教養が出る」 仕事でも、 人付き合いでも、 別れ際が雑な人は、 次が続かねぇ。 静かに立つ。 一言、礼を言う。 余計な説明はしない。 それだけで、 人は、きれいに残る。 今の世の中、 関係を切るのは簡単だ。 だが、 きれいに終える人は、少ない。 去り際に、 人は出る。 さて。 今日はここまで。 次回は、 「手放せる人ほど、自由になる」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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