第11話 ― 手放せる人ほど、自由になる ― cover art

第11話 ― 手放せる人ほど、自由になる ―

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第11話 ― 手放せる人ほど、自由になる ― おお、おまえさん。 年を重ねるほど、 増えていくものがございます。 物。 役目。 人間関係。 そして、 「こうあるべきだ」という考え。 若い頃は、 持つことで自分を作る。 ですが江戸の世では、 ある年齢を境に、 減らすことで人は軽くなる そう考えられておりました。 ―ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 夕暮れどき、 縁側で風に当たっていた姉さんが、 ぽつりと旦那に話しかけた。 姉さん 「旦那、 昔は簡単に出来てたことが、 最近、少し重く感じるんです。 気持ちの問題でしょうか」 旦那は、 しばらく黙ってから答えた。 旦那 「重くなったんじゃねぇ。 抱えすぎてるんだ」 姉さん 「でも、 今さら手放すのも、 無責任な気がして」 旦那 「江戸じゃな、 それを“始末が悪い”とは言わねぇ。 “頃合い”って言った」 江戸の年寄りは、 ある時期から、 自分の役目を減らしていった。 全部やろうとしない。 全部知ろうとしない。 全部分かっている顔をしない。 姉さん 「手放すのって、 負けたみたいで…」 旦那 「違ぇな。 任せるってのは、信じることだ」 握りしめた手では、 新しいものは受け取れねぇ。 手を放すから、 風が通る。 余白ができる。 姉さん 「じゃあ、 年を取るってことは…」 旦那 「軽くなるってことだ」 若い頃は、 背負うことで誇りができる。 だが、 年を重ねたら、 降ろすことで品が出る。 今の世の中、 手放すのが下手な人が多い。 正しさも。 役目も。 怒りも。 だが、 最後に残るのは、 手放せた人の静けさだ。 持たない人は、 奪われない。 軽い人は、 どこへでも行ける。 さて。 今日はこのあたりで。 次回は、 「昔話をする人ほど、未来を見ている」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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