第3話 ― 黙って損する人、黙って得する人 ― cover art

第3話 ― 黙って損する人、黙って得する人 ―

第3話 ― 黙って損する人、黙って得する人 ―

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第3話 ― 黙って損する人、黙って得する人 ― おお、おまえさん。 黙っていると、損をする。 そんなふうに思うこと、ございませんか。 言わなきゃ伝わらない。 主張しなきゃ、置いていかれる。 今の世の中、 口を閉じているだけで、 弱い人間みたいに見られる。 ですがね、 江戸の頃は、少し違いました。 黙ることは、 負けでも、逃げでもない。 むしろ、力の使いどころだった。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 評判のいい姉さんがいた。 気が利くが、出しゃばらない。 意見は持っているが、声を荒げない。 ある日、縁側で、 旦那とこんな話をしていた。 姉さん 「旦那、黙ってると、 損することもありますよね」 旦那 「あるさ。 だがな、 黙って得する人間もいる」 姉さん 「どういう人です?」 旦那 「場を見てる人だ」 江戸の女将衆の中には、 決して前に出ないのに、 最後は必ず、相談される人がいた。 なぜか。 旦那 「余計なことを言わねぇ。 場を壊さねぇ。 だから、信頼が残る」 黙るってのは、 我慢じゃない。 言葉を飲み込む勇気だ。 姉さん 「でも、言わなきゃ、 分かってもらえないこともあります」 「だから言うんだよ。 一番、静かな時に」 騒がしい場で黙れる人は、 実は、一番、状況を見ている。 江戸の教養は、 声の大きさじゃない。 間の取り方だ。 黙って損する人は、 ただ耐えている人。 黙って得する人は、 時を選んでいる人。 今の世の中ほど、 黙る力が試される時代はない。 次回は、 「わかる人ほど、急がない」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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