第6話 ― 人は、言われた通りには動かない ― cover art

第6話 ― 人は、言われた通りには動かない ―

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第6話 ― 人は、言われた通りには動かない ― おお、おまえさん。 人に何かを頼む。 教える。 導く。 そういう場面、 年を重ねるほど増えてきますな。 ちゃんと説明した。 理由も伝えた。 筋も通した。 それなのに、 なぜか人は、思った通りに動かない。 そんな経験、ございませんか。 江戸の世でも、 まったく同じでございました。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 商いを任され始めた若い衆が、 縁側で、旦那に首をかしげて言った。 若い衆 「旦那、俺、ちゃんと言ってるんです。 やり方も、理由も、順番も。 なのに、皆、動かねぇ」 旦那は、少し笑ってから、こう言った。 旦那 「そりゃそうだ。 人はな、 言われた通りには動かねぇ」 若い衆 「でも、正しいことですよ?」 旦那 「正しいかどうかと、 動くかどうかは、別だ」 江戸の町に、 口うるさい奉行がいた。 掟も理由も、細かく説く。 だが、町は乱れたまま。 一方、別の奉行は違った。 余計なことは言わない。 自分が、先に動く。 掃く。 直す。 手を出す。 すると、町は静かに整った。 若い衆 「言わなくても、伝わるんですか」 旦那 「逆だ。 言い過ぎると、伝わらねぇ」 人は、命令されると身構える。 説得されると、逃げ道を探す。 だが、 姿を見せられると、真似をする。 教養ってのは、 言葉の上手さじゃない。 背中の使い方だ。 今の世の中、 説明は溢れている。 正しさも、理屈も、十分だ。 それでも人が動かないのは、 足りないのが「言葉」じゃないからだ。 次回は、 「余計な一言が、品を落とす」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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