第8話― 怒らない人ほど、怒っている ― cover art

第8話― 怒らない人ほど、怒っている ―

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第8話― 怒らない人ほど、怒っている ― おお、おまえさん。 人が怒るところ、 最近よく目にしませんか。 声を荒げる。 言葉を強くする。 正しさを盾にして、 感情をぶつける。 けれど江戸の世では、 「よく怒る人」より、 「怒らない人」の方が怖い そう言われておりました。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 腕のいい親方のもとに、 若い衆が何人も集まっていた。 親方は穏やかで、 滅多に声を荒げない。 ある日、縁側で、 若い衆が旦那に聞いた。 若い衆 「旦那、 あの親方、 何をされても怒りませんよね。 あれって、 本当に気にしてないんでしょうか」 旦那は、すぐには答えない。 しばらく空を見てから、口を開いた。 旦那 「いや…… だからこそ、 一番、怒らせちゃいけねぇ人だ」 若い衆 「え? 怒らないのに、ですか?」 旦那 「怒鳴るうちはな、 まだ相手に期待してる。 まだ、伝えようとしてる」 親方は、 注意もしない。 説教もしない。 ただ、黙って見ている。 若い衆 「じゃあ、 本当に怒ったら、 どうなるんです?」 旦那 「何も言わねぇ」 それだけだ。 怒鳴らない。 責めない。 説明もしない。 ただ、 距離を取る。 仕事を任せない。 声をかけない。 視線すら、向けない。 それで終わり。 若い衆 「……それ、 一番きついですね」 旦那 「そうだ。 本当に怒った人間は、 感情をぶつけねぇ」 怒りを抑えるのは、 我慢じゃない。 選択だ。 線を引く。 越えたら終わり。 その境目を、 静かに示す。 今の世の中、 怒鳴る人は多い。 だが、 怒らない人の線を、 軽く見る人も多い。 それが一番、 危ねぇ。 怒らない人ほど、 よく見ている。 よく覚えている。 そして、 何も言わずに、 決めている。 次回は、 「わからない」と言える強さ そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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