第9話 ―「わからない」と言える強さ ― cover art

第9話 ―「わからない」と言える強さ ―

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第9話 ―「わからない」と言える強さ ― おお、おまえさん。 分からないことを、 素直に「分からない」と言う。 これがなかなか、難しい。 知らないと思われたくない。 大人なんだから、分かっていて当然。 そう思われるのが、怖い。 今の世の中ほど、 「分かったふり」が 上手くなってしまう時代もありません。 ですが江戸の頃は、 少し違いました。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 町内の寄り合いのあと、 姉さんが、縁側で旦那に話しかけた。 姉さん 「旦那、 ああいう場って、 分からないことがあっても、 なかなか聞けませんよね。 今さら知らないなんて、 言えない空気で」 旦那は、うなずいてから、 ゆっくりと言った。 旦那 「江戸じゃな、 一番、信用を落とすのは、 知ったかぶりだった」 姉さん 「え? 知らないって言う方が、 恥ずかしくなかったんですか?」 旦那 「恥ずかしいのはな、 知らないことじゃねぇ。 知らないのに、知ってる顔をすることだ」 分からないことを、 分かったふりでやり過ごす。 それは、その場は楽でも、 後で必ず、首を絞める。 姉さん 「でも、大人ですし…… 若い人に聞くのも、 気が引けます」 旦那 「だからこそだ」 旦那は、少し笑って続けた。 旦那 「『それは知らねぇ』 『教えてもらえるかい』 この一言が言える人間は、 場を壊さねぇ」 江戸の職人衆は、 分からないことを、 そのままにしなかった。 知らないことは、 学べばいい。 だが、 知ったふりをすると、 そこで終わる。 姉さん 「分からないって、 実は強さなんですね」 旦那 「そうだ。 分からないと言える人間は、 まだ伸びる」 分かっている顔をしている人間は、 もう、動かない。 今の世の中ほど、 「わからない」と言える人が、 信頼される時代はありません。 知識の量じゃない。 教養とは、 学び続ける姿勢だ。 次回は、 「去り際に、人は出る」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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